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5月14日(日本時間15日)米国カリフォルニア州カーソンでジャーメル・チャーロの衝撃KOシーンが話題だが、そのアンダーカードで行われたウェルター級戦も別の意味で話題だ。無敗の超新星ジャロン・エニス(24=米)の一撃KOが、後頭部か否か、この場合はKOは合法かなど、ヒットした場所でファンや視聴者が物議を醸している。    この試合は、IBF世界ウェルター級挑戦者決定戦として行われ、同級3位のエニスと6位のカスティオ・クレイトン(34=カナダ)が争うことに(1位・2位は空位)。 【動画】物議を呼んだ”一撃KO”の瞬間  試合はほぼ一方的な展開で、1Rにはエニスが鋭いジャブからのワンツーで攻め立て、クレイトンはガード一辺倒に。2Rには両構えのエニスがサウスポーにスタイルチェンジし、前進してはジャブワンツー、ボディを打ち込む。  ラスト1分、攻撃を予期したクレイトンが低くダッキング。そこにエニスの右のロングフックが軽く当たったように見えたが、エニスはそのまま崩れ落ち、立ち上がろうとするも足取りはおぼつかず、ロープに倒れかかる。ここでレフリーが試合を止めた。  2R、2分49秒でエニスが無敗記録を伸ばした。  この右ロングフックだが、テレビ解説はテンプルというが、YouTubeにアップされているShowtimeのスロー映像を見ると、クレイトンの左耳のさらに後ろ、後頭部へ当たっていると思われる。だがクレイトンのダッキングの瞬間、ヒットポイントが後頭部に一瞬ずれてしまったようにも見え、微妙な所だ。  もちろんボクシングでは後頭部への攻撃は、いわゆる”ラビットパンチ”として反則となっている。  YouTubeのコメントでは「明らかに後頭部だ」という意見が目立つ。また「後頭部ではあるが、それはクレイトンがダッキングし、結果的に当たりに行ってしまったからだ」という見方もある。もちろん「耳の上であり、この程度なら許される範囲内だ」と妥当なジャッジという声も見受けられる。   エニスはインタビューでこのフィニッシュブローについて「彼はタフなので、また起き上がるだろうと思っていたが、立ち上がってフラつき”これで終わりだな”と思った」と思ったよりダメージを与えたとの印象だ。  ともあれ、エニスはIBF世界王座の挑戦者に決定。試合後には「俺はIBFのNo.1コンテンダーだ、ベルトを手に入れる時が来た!」と吠えた。  現在のIBF世界王者は、WBA・WBC・IBFの三団体統一王者エロール・スペンスだ。しかしスペンスはWBO王者テレンス・クロフォードとの4団体統一戦を希望している。この”超新星”は次の試合でベルトに挑戦出来るのか。 ◇ジャロン・エニス:ショートレンジのフックを得意とし、戦績は29戦29勝(27KO)というハードパンチャー。16年にデビューするとその剛腕でKOの山を築き、20年4月には元IBFスーパーライト級王者をも豪快コンビネーションでマットに沈めた。